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「遺伝子組み換えや添加物など業者の表示義務の拡大は結論が先送りされた。消費者団体は「今後の議論に消費者の意見が反映される体制づくりが必要」と話す」http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013050902000178.html… TPP交渉参加が(将来的に)影響するのか懸念はあるが、消費者の関心事項の先送りは残念。
TPPにしろ、日米交渉にしろRCEPにしろ、「遺伝子組み換え」や「添加物」の表示義務がなくなってしまうということで、消費者の不利益になるのですが、遺伝子組み替えてないから安心かというとどうもそうでもないようです。
2012年8月29日
これからどうする日本の遺伝子組換え作物開発
8月1日のコラムの最後で、「遺伝子組換え技術を使わずに開発できるなら、その方法で、遺伝子組換え技術でなければ不可能ならば、組換え技術も使う。世界のトップバイテク種子メーカーの開発方針は、総じてこの方向だ」と書いた。
モンサントやデュポン社など世界のトップメーカーは、遺伝子組換え作物の商業化には安全性審査・承認に費用と時間がかかり、消費者や食品業界の受け入れ姿勢も大きなハードルになっていることを十分承知している。
その上で、組換え技術を使わなくてもできる品種改良は、ゲノム(全遺伝子)情報やマーカーアシスト育種法を駆使して開発する。しかし、どうしても組換え技術でなくてはやれない品種改良には組換え技術を使うという姿勢だ。筋が通っている。
ところが、「うちはゲノム情報、マーカーアシスト育種で画期的品種をつくります」、「遺伝子組換えではありません」を売りにしているように思える研究組織がある。日本の農水省と傘下の独立法人の研究所だ。
2012年7月23日に農水省と農業生物資源研究所の主催で、「ゲノム情報を活用した作物の新品種開発の最前線」と題する公開シンポジウムが開催された。
5年間の新農業展開ゲノムプロジェクトが今年度で終了するので、ゲノム情報とマーカーアシスト育種法によって達成された研究成果のいくつかが紹介された。
ゲノム情報とは、アデニン(A),チミン(T),グアニン(G),シトシン(C)といった塩基の配列を示す遺伝子地図で、染色体のどの位置にどんな遺伝子があるかを示す。日本が主導したイネゲノムプロジェクトによって、2004年にイネのゲノム(全遺伝子)情報が解読され、現在は次のステップとして、それぞれの遺伝子がどんな働きをするかを調べている。
マーカーアシスト育種法は、ゲノム情報の充実とともに発展した。導入したい形質の遺伝子の塩基配列を目印(マーカー)にして、交配・選抜の作業を効率化したもので、最近は、アデニン、グアニンなど一塩基単位の違いでも、選抜マーカーとして利用できるようになり、目的とする遺伝子だけを導入する品種改良がさらに進むと期待されている。
マーカーアシスト法は、同じ種の品種を掛け合わせた交配育種であり、できた品種はもちろん遺伝子組換えではない。食品の安全性審査を受ける必要もないし、世間から「試験栽培も反対!」とバッシングを受けることもない。
シンポジウムでは、講演者から「多額の予算をかけたゲノムプロジェクトという側面からみると、十分な成果を上げているとは言えない」、「マーカーによって早期に選抜できるが、他の大事な形質を見落とす可能性もあるのではないか」といった反省的発言もあった。しかし、得られたゲノム情報の成果をこれからどのように新品種育成の現場でフル活用するかについて、突っ込んだ議論はなかった。
また、発表の中には遺伝子組換え技術を使ったイネ品種もあったが、「形質転換イネ」と表現し「遺伝子組換え」という言葉は使わなかった。全体として「ゲノム情報を活用とした最前線」の今後に不安をのぞかせるシンポジウムというのが私の感想だ。
このシンポジウムのお知らせがあった6月11日に、農水省は「今後の作物育種研究の進め方」と題するレポートを発表した。FOOCOMの松永編集長も委員をしている農林水産技術会議での承認を経て公表されたものだが、プレスリリースもせずひっそりだったので、農業関係のメディアでもほとんど注目されなかった。
連鎖解析の原理
鎖解析 linkage analysis
DNAマーカーを利用して探索する遺伝子の位置を確定する分析。DNAマーカーは全ゲノム上に均等にちらばるように約200個あまりが選ばれている
DNAマーカーを利用して探索する遺伝子の位置を確定する分析。DNAマーカーは全ゲノム上に均等にちらばるように約200個あまりが選ばれている
↓
リファレンスファミリー reference family
遺伝子の位置を確かめる連鎖解析のためにある形質に関して極端に性質の異なるもの(品種)同士でF1をつくり、そのF1同士の交配でF2をつくる。あるいはF1をどちらかの親品種に戻し交配しバッククロスを作る。すると探したい遺伝子はF2(バッククロス)世代においてばらつくのでF1からもらったDNAマーカーとの照らし合わせができる。このような家系をリファレンスファミリーという。マウスではアルコールの好き嫌いの遺伝子の位置を確かめるためなどこのようなファミリーを作るのが一般的であるが、ウシではわが国では今のところ家畜改良センターと道立畜産試験場しか行っていない。↓
(引用ここまで)
農水省では、遺伝子組み換えも、マーカーアシストも両方やっていく方向だということです。
上記にあるように 以前からの「掛け合わせで品種改良」を 遺伝子レベルでやっただけのもの見えます。
すでに、キノコ、魚、豚、鶏などで行われているようです。
ところが、上記の農業生物資源研究所で、新品種を作るのにも、放射線が利用されているのです。
独)農業生物資源研究所
研究支援・オープンラボ
放射線育種場
放射線育種場の概要
放射線育種には、その作物には存在しない新形質の創出、その品種の純粋さを損なわずに目的形質のみの改良、また栄養繁殖性作物なかでも交配の難しい作物の改良ができるという優れた点があります。
放射線育種場は、放射線により誘発された突然変異を利用した作物の品種改良、及びその効率的誘発のための基礎研究を行っています。その対象は、種子繁殖・栄養繁殖作物から木本作物におよび、新品種の育成に貢献する一方、突然変異誘発機構の解明・突然変異誘発技術の開発などの基礎的な研究を行っています。さらに、大学・民間企業・都道府県からの依頼を受けて照射を行うとともに、共同研究も活発に進めています。
施設の概要
〒319-2293
茨城県常陸大宮市上村田2425
茨城県常陸大宮市上村田2425
大宮支援室
突然変異による林檎、菊、稲が 育てられている写真があります。
照射と培養の複合による変異の誘発
放射線育種場では、各種の作物について望ましい突然変異を効率よく誘発・選抜する方法の開発を進めています。放射線照射と組織培養の適切な組み合わせによって、種々の突然変異体が高い頻度で誘発できます。また、この方法によれば、キメラのない完全な変異体が得られ、特に栄養繁殖作物では短期間に品種改良が可能になりました。各種の放射線照射法によって、多種の植物において実用的な突然変異品種が育成されています。
人為的に突然変異を起こして、それを培養するって、本当に安全な んでしょうか?
事業報告書 平成23年6月
独立行政法人農業生物資源研究所
独立行政法人農業生物資源研究所
役員には元農林水産官僚で、なぜか 原子力委員会 放射線専門部会にいる
日本モンサント(株)」 毎日新聞社 東京大学名誉教授・味の素(株)
等の方たちが講演しています。
③ ジーンバンク事業等〔指標1-4-ア〕
関係独立行政法人5機関参画の下、ジーンバンク事業連絡協議会を開催し、毎年度の事業実績の検討と年度計画の立案を行い、さらに、外部委員からなるジーンバンク事業評価委員会を受け決定される年度計画に基づき、他の法人と連携して業務を推進した。他の独立行政法人等との連携・協力により、5年間に植物36件、微生物12件の国内探索調査、並びに植物延べ21件、微生物2件の海外探索調査を実施し、植物2,208点、微生物404株の遺伝資源を収集した。
関係独立行政法人5機関参画の下、ジーンバンク事業連絡協議会を開催し、毎年度の事業実績の検討と年度計画の立案を行い、さらに、外部委員からなるジーンバンク事業評価委員会を受け決定される年度計画に基づき、他の法人と連携して業務を推進した。他の独立行政法人等との連携・協力により、5年間に植物36件、微生物12件の国内探索調査、並びに植物延べ21件、微生物2件の海外探索調査を実施し、植物2,208点、微生物404株の遺伝資源を収集した。
④ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構等との連携〔指標1-4-イ〕
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との連携協力については、独法間の協定に基づく研究協力などを通じて協定研究を実施した。また、同企画調整室とは各種事業の推進方向などについて情報交換・共同研究の調整等を行った。知的財産センターとは特許等の知財の取得・管理について、産学官連携センターとは大学・民間との共同研究の実施について情報交換・連絡調整等を行った。
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との連携協力については、独法間の協定に基づく研究協力などを通じて協定研究を実施した。また、同企画調整室とは各種事業の推進方向などについて情報交換・共同研究の調整等を行った。知的財産センターとは特許等の知財の取得・管理について、産学官連携センターとは大学・民間との共同研究の実施について情報交換・連絡調整等を行った。
あー、これ、遺伝子による特許ビジネスみたいですね。
(次回に続きます)