文科省が全国47都道府県に設置した放射線観測装置のデータを集計したところ、装置が被災してデータの取れない茨城県を除いた栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川の1都4県で観測開始以来、平常値としては最大の放射線量を観測したことがわかった。また、15日午前7時台には茨城・東海村の原子力開発研究機構に設置された観測装置でも、放射線量が5マイクロシーベルトを超えたとの通報があった。いずれの放射線量も人体に影響を及ぼすレベルでは全くないという。
第一原発は、地震で被災して全ての電源が失われる事態となっていた。このため、外部からケーブルを引いて電源を復旧する作業が行われていたが、20日午後3時50分頃、発電所の大本となる電源に送電できたという。
大本の電源が入ったことで、今後、中央制御室の計器類を復活させるとともに、原子炉や使用済み燃料プールの水を冷やすポンプを稼働させたい考え。
第一原発は、地震で被災して全ての電源が失われる事態となっていた。このため、外部からケーブルを引いて電源を復旧する作業が行われていたが、20日午後3時50分ごろ、発電所の大本となる電源に送電できたという。原子炉と使用済み燃料プールの水を冷やすポンプを稼働させることを目指しているが、壊れている部品などが見つかり、すぐに動かせる状態ではなかった。部品の交換には2、3日かかる見通しだという。3号機と4号機についても外部からケーブルを引く電源を復旧する作業が行われていて、一両日中に、送電を開始したいとしている。
一方、使用済み燃料プールに水を満たすため、自衛隊や東京消防庁による放水も続けられている。4号機への放水は20日午前と20日午後に1回ずつ、3号機への放水は、20日夜から21日午前4時頃まで約6時間半にわたり行われた。
自衛隊は20日午後、ヘリコプターで上空から1号機から6号機の温度を測定した。北沢防衛相は「使用済み核燃料プールは全て100℃未満だった」として、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
「東京電力」によると、24日に作業員の被ばく事故が起きた3号機のタービン建屋については、放射能で汚染された水を除いた上で、電源復旧作業を再開させる予定。1号機・2号機・4号機では、計測機器やポンプなどが正常に作動するかどうかのチェックや壊れた部品の交換が行われている。
また、2号機の中央制御室は、1号機と3号機に続いて25日中にも照明が点灯する見通し。
24日に作業員3人が被ばくした3号機のタービン建屋の水たまりからは、原子炉の中に通常ある水と比べて、約1万倍という高い濃度の放射性物質が検出された。保安院は、この放射性物質は、原子炉の中にある燃料棒が損傷して発生したものとみている。漏れ出た原因については、原子炉内の蒸気を排出するための弁が緩んでいるか、原子炉から伸びている配管が破損している可能性があるとの見方を示している。また、今後も放射能漏れが続くおそれがある一方で、燃料棒が入っている圧力容器やそれを守る格納容器自体が損傷している可能性はないとの見方を示した。
「東京電力」によると、新たに1号機のタービン建屋の水たまりからも、3号機と同じレベルの高濃度の放射性物質が検出された。2号機と4号機の水についても検査をしている。
(中略)
一方、敷地内の土壌からプルトニウムが検出されたことについて、経産省の原子力安全・保安院は「核燃料がかなりの高温になった」との認識を示した上で、「核燃料がダメージを受けて損傷している」との見方を示した。「今回の事故の深刻性を表している」としているが、検出されたプルトニウムの量は「作業員や住民にとって特に心配される値ではない」と述べている。
福島第一原発では、2号機の海側にあるピット付近のひび割れから汚染水の流出が続いていた。汚染水は、ピットやトンネルの下に敷き詰められた砂利の部分を通って漏れていたことから、5日から「水ガラス」と呼ばれる水をせき止める薬剤を注入し、砂利の部分を固める作業が行われてきた。作業は5日に夜通し行われ、ピットの周辺9か所に薬剤約6000リットルが注入された。その結果、6日午前5時38分に水の流出が止まったという。
経産省の原子力安全・保安院は、水の流出を止めたことで他の場所で新たに水が漏れたり、たまり水の水位が上昇したりする可能性があるとして、監視を続けることにしている。
一方、高濃度の放射性物質で汚染された水をためる場所を確保するために、低レベルの汚染水の放出が続けられている。廃棄物の処理施設にたまっている汚染水は6日午前6時半までに約6000トンが放出され、残りの約2000トンも今後放出される予定。また、5号機、6号機周辺の地下にたまった汚染水の放出には、あと数日かかる見通し。