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本 ナインティーンズ  ぼくたちの近代史

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御来訪ありがとうございます。
 
「悪女について」と、「新しい公共」②
 
 
④男性原理から女性原理へ
 
についてです。
 
ナインティーンズ(1991年)は河出文庫から出ているのですが、画像  がありません。
 
いくつか引用してくださっていた方がいたので、ご参考に。。
 
 
 
 
 
 
 
男性原理から女性原理へ
についてなんですが、正確には、こう書かれています
 
 
(引用開始)
 
 
男性原理というのは「一人の家父長に終結する一つのトーン」として
「必然として全体主義に向かう頂点構造」の原型のようなもんです。
だから、結局1989年のドミノ倒しは最終的には 『ここ』 まで行かざ るを得ない。 『ここ』 と言うのは、勿論 「家父長制を基本とする、  旧来の男性原理の崩壊」ですね。
 
「今までの歴史を支えていた男性原理は崩壊して今までという歴史  時間は徹底的な検証を迫られる」というところに行き着くしかない。
これが私の読みです。
 
 
(中略)
 
 
 
旧来の男性原理の崩壊というのは、別に女性原理のたい頭という
事態を招くわけじゃないですね。そういう風に考えている人もいるか もしれないけど、男性原理の崩壊というのは、別の言葉で置き換え  れば支配者の崩壊なんだから、「これからはお父さんの代わりに母さ んがこの家の代表者になる」ということじゃない。
 
(中略)
 
 
「子どもが成人して、その両親はどちらも外と関りを持っている」とい う形になって
「成人した人間をいつまでも子ども扱いするのはへんだ、妻が独自  の関係を社会と持っているのにいつまでも独立した人格として扱わ  ないのはへんだ、かつて家長と呼ばれた男だけが全ての責任を負わ されるのはへんだ」という状態になった。
 
それが 『今』で『これから』だというだけのことです。
 
(中略)
 
男性原理というのは『男と女』という見方をしないで、その与えられた 役割によって、『男と女』を位置づける、かなり社会的な(あるいはイ  デオロギッシュな』考え方です。
 
(中略)
 
「こうした役割を規定するのが人間である」というのが男性原理で   す。男性原理の男性原理たるゆえんは、こうして一切を 『人間とは 男という性を持つものであることを原則とするもの」という考えで仕切 っていることで、この男性原理が今、崩れようとしている。
 
(中略)
 
男性原理の崩壊を、「所詮俺には関係ない女だけの問題」と考えて いると大間違いで、『性差』 というのは男性原理の横軸に過ぎませ ん。ここには『国家』というとんでもない縦軸が隠されている。
 
 
 
(引用終わり)
 
もう一冊は、1988年にでた 「ぼくたちの近代史」河出文庫です。
 
 
検索結果ですが、講演音声もあるようです。
 
 
(引用開始)
 
 
それと、心理的な理由ね。ピラミッド構造があるってことは落ち着くん だよ。誰かが身体張って、シンボルなり、権力なり、支配者なりをやっ てくれてると、下の人間は、それによっかかったり協力したり反抗し  たりして自主性のない人間としては楽だっていう子どもの発想なんだ よね。お父さんが身体張ってお父さんやってくれてれば、僕達は の うのうと『僕達』やっていられるって。だからお父さんがいなくちゃダメ なんでしょ。
 
 
で、お父さんがいなのが今で、「それは困ったね」で、お母さんが    
頑張るわけね。お母さんは今、ピラミッドの頂点に立ってる。でも、お
母さんのピラミッドって違うんだよね。
「お母さんが働いているのに、僕だけ遊んでいてはいけない」ってい
う風になるからさ、このピラミッド構造は歪んでくるんだよね。
 
 
だから今や 「後家の時代」なんですよね。
父親であるようなものは、天皇を別にして、みんな死んじゃったの   ね。死んじゃったもんだから、母親というのは、後家という形をとるし かないわけ。生きているんだけれども、父親はいるんだけども、死ん でるわけ。
 
(中略)
 
 
しっかりものの母親がいるのね。でも その夫は、「息子」という形で いるわけで、日本の男が女を母親にしてしまったっていうのもあるん だけど、逆に日本の男を子どもにしてしまうような強さが日本の母親 にもあるということでもあるわけね。
 
(中略)
 
 
でも、困るのは、男が母に押さえつけられてしまったら、永遠に子供 なんだよね。
 
(引用終わり)
 
 
と、このような文章となります。
 
管理人が、かなり橋本治さんの影響を受けているのは、このブログ  にも何度も登場していることから、推測できると思います。
 
 
 
この方の作家デビューの 、
 1977年の小説桃尻娘』(第29回小説現代新人賞佳作 
 
なんですが、父親の読んでいた小説現代を盗み読みしていた小学  生の時に、偶然読んでいるんですね。
 
圧倒的に本が不足していた 「田舎」だったので、ついオトナの本に も手を出す。 で、川上宗薫 とか、宇能 鴻一郎とか、山田風太郎と かを、意味もわからなけど読んでいた。(あとで、役立ちましたよw)
 
 
バブルの前の広告ブームの時代に、また橋本さんは出てきて
追いかけて読んでいたんですが、当時は、難しい話になると読み
飛ばしていたんですよね。
 
ですが、自分の 「なんかヘンだ」「なんかおかしい」 という違和感を
 
 「ああ、こういう考え方、見方もあって、自分が違和感を感じるのは
 別にへんじゃないんだ」
 
という存在であったわけです。
 
ウィキをご覧いただくとわかりますが、出されている本が膨大です。
 
全部を読んでいるわけではありません。
 
 
「上司は思いつきでものを言う」が、20万部売れて、話題になり
あらためて、昔の本を読み返して、
 
「こんな大事なことを書いていたのに、見過ごしていたんだ。。」
 
と、気がついた次第です。
 
 
小林信彦さんが、「橋本治は、ずぅっと啓蒙をやっている。」と
気の毒そうに書いていたこともあります。
 
 
その「啓蒙をやっている」という点では「小沢氏」と同じなんだけど
マジョリティには、なかなかならないというところが似ています。
 
橋本さんは、最初の湾岸戦争の時に、
 
「攻撃されたイラク。アレは、日本でしょ。空襲された日本でしょ」
 
と、平和憲法があるのだから、兵も金も出すべきではない。
 
と言う立場で、「血を流せ」と発言した小沢氏を批判します。
 
 
これは、虚空と君のあいだに 様がおっしゃる 「お花畑憲法」なのか もしれませんがそういう手もあったはずなんです。
 
 
ちなみにこの本の中で、こういうときは、内閣とかを混乱させて国内 まとまらないからで、しのげばいいのに。。
なんて書いてます。
 
 
 
また、最近の本では、陸山会事件 について 東京地検、や裁判所 を批判しています。
 
ですが、小沢氏については、
 
「説明したと本人は言っているけれども、それが伝わっているとは
言い難い状況で、もう説明した としてしまっていいのか?」
 
と、疑問を投げかけます。
 
全員が、ネットを見られる、ネットを見ても、その情報を取りに行くと   は限らないという現状で、これは妥当な意見です。
 
 
では、説明をすることは?
 
 
 
 
橋本さんは、橋本さんが必要だと思ったことについては
すべて、橋本さんから見て、フラット(公平)にして、構造を分析して
組みなおし、図式化して、類型化します。
 
だからとんでもないたとえ話が出てくる。
 
「キリスト教は、全共闘だ」
 
とか。。
 
しかし、自分の言い出していることは、一般から見れば、突拍子もな いことだと知っている。だから説明が長くなる。
 
ところが、長い説明に、多数の人は耐えられない。
 
「なんとかなっているんだからいいんじゃないか」
 
で、先送りしてきた。
 
 
 
説明をしない ≒  説明が無駄に終わることを知っている。
 
説明を詳しくする ≒ 長すぎるから当事者以外は必要とされない。
 
で、結局 説明内容は、広く伝わることにならない。になるんですね。
 
 
と、話は脱線しました。
 
 
 
男性原理から女性原理へ 今は後家の時代と橋本さんが書いてか らもう20年あまりたつわけですが。。
 
勘のいい方なら、もうお分かりだと思うのですが 「時代を動かしてい る後家が、また男性」なんですよね。
 
次回に続きます。。
 
 
 
 
 
 
 
 

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